仏教による納骨
仏教では亡くなった故人の魂は48日間現世に留まり、49日目に浄土に昇り仏様になると言われています。その49日目に「四十九日法要」を行い、故人の冥福を祈り残された家族や血縁者が供養を行います。
この四十九日法要に合わせて納骨するのが一般的とされていますが、気持ちの整理がつかず、納骨できない場合もあります。
そういった場合は四十九日に限らず、それ以降の百か日や一周忌など、命日から長い期間をおいてから納骨のタイミングもあります。あまり来てほしくはない機会ですが納骨の知識があれば、いざという時にいくらかおちついて対処することができます。
この記事では納骨の時期や納骨の方法、必要な手続きや費用などをお話します。
納骨をする時期はいつ?決まりはあるの?
納骨には「いついつまで納骨しなければならない」という決まりはなく、「墓地埋葬等に関する法律」を見ても納骨時期は記載されていません。
「必ず納骨しなければならない」という法律的な決まりはありませんが、いつまでも自宅供養などで保管しておく訳にもいきません。
なのでいずれは散骨などの埋葬が必要になります。この際、手続きをしないで庭先に埋葬したりお墓を作ったりすると違反になるので注意しましょう。
火葬が終わりその日に納骨することも可能ですが、納骨するお墓があり、もろもろの手続きが終わった状態に限ります。
やるとしても火葬などもあるため1日でやるにはかなり忙しくなるでしょう。気持ちの整理のつく時間も無いので、火葬後に行うケースは稀です。一般的には四十九日や百か日法要の時期が選ばれている傾向があります。
仏教式に見る一般的な5つの納骨時期
仏教式の納骨時期は基本的に5つの時期に分けられます。それぞれの時期と特徴を見てみましょう。
時期 | 特徴 |
---|---|
四十九日 | 故人が亡くなってから49日後の四十九日法要に合わせてに行う。お墓のある家では一番選ばれている時期。親戚も集まる四十九日法要に合わせてできるためタイミングも良い。 |
百か日 | 故人が亡くなってから100日目に合わせて行う。およそ3ヶ月が経ち喪に服す期間も終わっていて気持ちの整理もついている頃。百か日に合わせてお墓を立てる場合は早めの準備が必要。 |
一周忌 | 故人が亡くなってから1年後の命日に合わせて行う。49日、100日では悲しみの癒えない方に向いている。1年という長い期間があるので、納骨方法について家族でじっくり話す期間がとれ、新しくお墓を立てる場合にも向いている。 |
三回忌 | 故人が亡くなってから2年目の命日に行う。なぜ2年目なのに三回忌かというと、亡くなった日が1回目の忌日(きにち)に数えられるため。なので1年目の命日を2回目の忌日、2年目の命日が3回目の忌日になので三回忌と呼ぶ。気持ちの整理がつかない場合やお墓の建立など、じっくり考えたい方に選ばれている。 |
新盆・初盆 | 故人が亡くなってからの四十九日の忌明け後、初めてのお盆に行う。四十九日の忌中の場合は来年のお盆になる。お盆はお寺も忙しい時期なので、早めの連絡をしておくこと。8月に行うため故人が亡くなった時期によって期間が空いたりすぐに行わなければならないのでそこを考慮して予定をたてること。 |
納骨までの流れ
火葬が終わると、火葬許可証に印が押されます。これが埋葬許可証となり、お墓への納骨が可能になります。
その際、必要な書類や参列者の選定など、事前にできることは済ませておきます。
当日までの準備
納骨式までにやることや準備する用紙などは結構あるので、多少忙しくなるかもしれません。
埋葬許可証は無くさないよう遺骨とともに保管しておきましょう。納骨式までの手続きなどの準備は以下のようになります。
①お寺に納骨の相談、法要の手続きを伝える
②墓地管理者や石材店に納骨の内容を伝える
③参列者にスケジュールを伝える
④塔婆やお供え物など必要なものを準備する
⑤会食の準備と参列者へのお返しを用意する
お寺や業者に相談する上で、費用の確認もしっかり行いましょう。次の項目で①~⑤までの詳細をご説明します。
①お寺に納骨の相談、法要の手続きを伝える。
僧侶と納骨式の内容や日時の予定を決めましょう。印の押された火葬許可証(埋葬許可証)・お布施代や卒塔婆など必要なものは前もって揃えておきます。
参列者の選定、故人が公営墓地使用者の場合は名義変更が必要になるので、早めの連絡をしておくこと。
②墓地管理者や石材店に納骨の内容を伝える。
カロートのフタを空ける作業費用や名前を彫る彫刻料など、石材業者と費用・見積もりの相談をします。
新しくお墓を作る場合はおよそ3ヶ月ほどの期間と200万円(相場)の費用がかかるので、業者との早めの話し合いをしておきましょう。
③参列者にスケジュールを伝える
納骨式の予定が決まったら、選定した参列者に場所と日時の連絡をします。この際、故人との関わりがどの程度なのか分からない相手にも一応の招待状を出しておきましょう。
「仲良くしていたのに呼ばれなかった」などのトラブルが無いようにします。
④塔婆やお供え物など必要なものを準備する
お供え物のお花やお菓子、お酒を準備します。卒塔婆や数珠、線香の用意も忘れずに。
⑤会食の準備と参列者へのお返しを用意する
納骨式後の会食の段取りもしておくこと。一般的には昼食や夕食前の時間帯を選びます。
会食を行わない場合でもお茶菓子程度のものは用意します。僧侶に渡すお布施や参列者への引き出物も忘れずに準備しておきましょう。
納骨当日
納骨式を行う際、お墓の掃除や施主の挨拶から焼香の順番など、いくつか決まり事があります。
僧侶による指示があるためそれほど難しくはありませんが、大まかな流れを覚えておくとスムーズに納骨式を進めることができます。
納骨式の流れ
納骨式の簡単な流れはこのようになります。
- お墓周りの掃除や蝋燭などの準備
- 遺族代表・施主による挨拶
- 納骨
- 会食
1.お墓周りの掃除や蝋燭などの準備
火葬後に火葬許可証に印を押すと埋葬許可証となり、埋葬が可能になります。
納骨前にお墓回りの掃除、草むしりを済ませておいましょう。掃除が終わったらお供え物や焼香、蝋燭を準備します。
式中はなるべく席を立たないよう手洗い、身支度は事前に済ましておくのがマナーです。
2.遺族代表・施主による挨拶
遺族代表・施主の挨拶から納骨式が始まります。この際、遺骨は故人と血縁の深い人が持つのが一般的です。会食がある場合はそのお知らせもしておきましょう。
3.納骨
施主による挨拶が終わると、僧侶による1回目の読経が始まり、骨壺や納骨袋に入った遺骨をカロート(遺骨を納めるスペース)に納めます。
カロートのフタは遺族の手で開閉するのですが、重量が重く困難な場合は別途料金がかかりますが、石材店の業者に頼むこともできます。
納骨が済むと2回目の読経が読まれ、僧侶から焼香を促されます。施主→遺族→近親者の順番で焼香をあげましょう。これで納骨式は終わりになります。
4.会食
納骨式が終わると、自宅や納骨式会場付近の料亭などで、僧侶を交えての会食があります。
僧侶が会食に主席出来ない場合は、お布施とともに、車代を渡します。参列者にも引き出物を忘れず渡しましょう。
納骨式にかかる費用(相場)
納骨式は故人の骨を納める行事ですが、新しくお墓を立てたり名前を彫ったりすると結構な費用がかかります。
他にも僧侶へのお布施や引き出物などもろもろの費用が必要なるでしょう。下記に一般的な納骨式にかかる費用をまとめました。
■納骨式でかかる費用(相場)
お墓の建立 | 約50万円~200万円 |
式場代 | 約1万円~5万円 |
カロートの開閉 | 約5千円~5万円(まれに無料の場合も) |
戒名、名前の彫刻 | 約3万円~8万円 |
卒塔婆(1枚) | 約2千円~1万円 |
会食代(1人分) | 約3千円~1万円 |
引き出物(1人分) | 約2千円~5千円 |
お布施 | 約2万円~5万円 |
僧侶の車代 | 約5千円~1万円 |
納骨は悲しみを乗り越えるための一歩
仏教による納骨の日時や流れを紹介しましたが、いかがでしたか?
故人が亡くなった悲しみはそう簡単に拭えるものではありません。
納骨のタイミングは四十九日法要か百か日法要に合わせて行うのが一般的ですが、なかなか気持ちの整理がつかないときは、1周忌や3回忌に納骨する方法もあります。
どうしても故人と離れたくない場合は自宅供養などもありますが、いずれはその悲しみから踏み出さないといけない時がきます。
納骨はその一歩を踏み出すための大事なステップになるのではないでしょうか。
故人が安らかな眠りにつけるよう、気持ちのこもった納骨式を挙げましょう。