就職氷河期はいつのこと?
ニュースなどで就職氷河期という言葉を聞いたことはありますか。今でもその影響が問題視される就職氷河期とは、いつのことなのでしょうか?
就職氷河期の内容や問題点、就職氷河期がいつだったのかなどを紹介します。
就職氷河期とは
就職氷河期とは社会全体で就職が困難になった時期のことです。「就職ジャーナル」という雑誌が1992年11月号で発表した造語で、今でも多くの場面で使用されています。
就職氷河期では四年制大学を卒業しても、就職ができない場合が多く、社会問題としても注目を集めました。不景気を理由に多くの企業が新卒採用を減らし、求人倍率も下降します。
日本は新卒主義であると言われ、新卒で就職ができないと、その後も安定した職に就きづらい構造です。そのため、就職氷河期の失業率や求人の減少がいまでも問題になっています。
就職氷河期はいつだった?
具体的に就職氷河期と呼ばれるのは、バブルが終わった1991年から2004年ごろと言われています。このころに就活をしていた1993~2005年度卒の人を主食氷河期世代と呼びます。
より具体的な数字を表で見てみましょう。厚生労働省による大卒者の求人倍率や就職内定率です。1993年卒業年度から求人倍率は低下し、2を超えるのは2008年になってからです。
卒業年 | 大卒求人倍率 | 大卒4月内定率 |
1992年 | 2.41 | |
1993年 | 1.91 | |
1994年 | 1.55 | |
1995年 | 1.20 | |
1996年 | 1.08 | 93.5% |
1997年 | 1.45 | 94.5% |
1998年 | 1.68 | 93.3% |
1999年 | 1.25 | 92.0% |
2000年 | 0.99 | 91.1% |
2001年 | 1.09 | 91.9% |
2002年 | 1.33 | 92.1% |
2003年 | 1.30 | 92.8% |
就職氷河期のピークはいつ?
それでは、就職氷河期のピークはいつだったのでしょうか。上記の表を見ると2000年には求人倍率が1を下回る0.99まで低下します。
これは就活をしても一つも内定をもらえない可能性があることを示していて、2000年~2003年が一番のピークだったということができるでしょう。
この時期は完全失業率も高く、新卒が含まれる15歳~24歳の完全失業率は2000年には9%を、2003年には10%以上となっています。
就職氷河期の原因?バブル期とはいつのこと?
就職氷河期はバブル崩壊後の不景気が原因とされています。では、バブル経済期とはいつのことなのでしょうか。
1985年のプラザ合意と、それによる円高を背景に日本経済は内需主導のバブル景気に突入します。1986年から1991年ごろまで続く好景気がバブル景気です。
1990年に入ると、次第に地価や株価が下落し、一般的には1991年2月にはあぶる契機による経済の安定成長期が終わったとみなされています。
ロストジェネレーション世代とは?
就職氷河期と並んでよく耳にする言葉がロストジェネレーション世代、あるいは略してロスジェネ世代です。これは直訳すると「失われた世代」という意味です。
ロスジェネ世代とは、ちょうど 1970年~1982年頃に生まれ就職氷河期に主食活動を行った世代のこと。就職難の影響を大きく受けた世代です。
ロスジェネ世代も今では30~40代後半に差し掛かりますが、いまだに新卒で受けた就職難の影響が残り、引きこもりや非正規など多くの問題を抱えている人がたくさんいます。
就職氷河期による問題点
就職氷河期が起こったことによる、ロストジェネレーション世代が抱える問題点や、いまだに解決できない社会問題とはどのようなものなのでしょうか。
就職氷河期は10年の長きにわたる不景気で、多くの問題を生み出しています。それらの問題の中でも代表的なものを紹介します。
非正規雇用の増加
就職氷河期で正社員の就職が少なくなったことで、多くの非正規雇用が増加します。非正規雇用では収入も安定せず、税収にも影響があり、国全体の問題としてとらえられています。
新卒で正社員になれなかった若者の多くは派遣社員や契約社員、フリーターなどの非正規の仕事につかざるを得ませんでした。
新卒主義が根強い日本では、このような場合職歴が重ねられず、その後も安定した職に就けないケースが少なくありません。今でも低賃金や将来の不安定さに苦しむ人がたくさんいます。
少子化や未婚率の増加
非正規雇用が増加し、収入が不安定だったり、将来の見通しが立ちにくい人が増えたことで未婚率も増加したと言われています。
小泉政権による労働者派遣法の規制緩和はさらに多くの非正規雇用を生み出しました。結婚をしても子供を育てられないと考える世帯も多く、就職氷河期は少子化にもつながっています。
今後は少子化だけでなく就職氷河期世代の介護問題なども懸念されています。
第2の就職氷河期はいつ?
実は、近年第2の就職氷河期と呼ばれる時代があったことも話題にされています。第2の就職氷河期とはいつのことなのでしょうか。その時期や原因について紹介します。
第2の就職氷河期は2010年~2013年ごろ
第2の就職氷河期と言われているのは20010年~2013年ごろのことです。就職氷河期の終焉の後、しばらく景気が回復し求人も増加します。
しかし、2008年に起こったリーマンショックや、その後の東日本大震災の影響を受け、景気が悪化。第36回ワークス大卒求人倍率調査による数字を見てみましょう。
2009年には2.14だった大卒の求人倍率は2010年1.62まで低下します。翌2011年には1.28となり、この時期は第2の就職氷河期だったのではと言われています。
リーマンショックとは
リーマンショックは2007年のアメリカの住宅バブル崩壊をきっかけにして起きた、世界的な金融危機のことです。
アメリカの大手投資銀行、リーマン・ブラザーズ・ホールディングスが破綻したことに由来してこの名前が付けられました。
アメリカ経済と結びつきが強い日本経済も大きな打撃を受け、全体の失業率も増加し、新卒採用を絞る企業も増えた結果就職難が起こりました。
就職氷河期世代にはコロナウィルスの影響が大きい?
就職氷河期世代は、正社員の就職が厳しく、契約社員などの非正規雇用者がたくさんいるためコロナウィルスにより大きな影響を受けました。
営業自粛や工場閉鎖などで、非正規雇用者は契約終了や解雇に追い込まれています。不安定な生活基盤は、コロナの影響でますます不安定化し、いっそうの社会問題化が懸念されています。
また、コロナによる不景気は、第三の就職氷河期を生み出す可能性もあり、今後の経済への影響が注目されています。
就職氷河期支援プログラムとは
2019年5月には、就職氷河期世代を支える支援プログラムが発表されています。
これは就職氷河期世代で、長期にわたりアルバイトやパートに従事していたり、働く意思があるのに無職のままや引きこもりになっている人、離職を繰り返している人などが対象です。
就職氷河期世代支援プログラムの目的
就職氷河期世代支援プログラムでは3年間の集中的な改革により正規雇用者を約30万人増やすことを目的にしています。
2020年4月から本格的な実施をしているので、政府の広報などを気になる人はチェックしてみましょう。
就職氷河期瀬田支援プログラムの内容
相談窓口の増加やマッチングのほか、就職氷河期世代を雇用する企業への助成金などがその内容です。
本人の希望により、再度学習機会が得られるリカレント教育や採用選考を兼ねた社会人インターンシップの推進、引きこもりの支援なども併せて実施されます。
何から始めたらよいかわからない人は、自治体の相談窓口で、まず相談してみるところから始めましょう。
まとめ
就職氷河期はすでに過去で終わったことだと考えている人もいますが、実は多くの問題がいまだに残っています。
その影響に苦しむ人も多く、社会全体の問題にもなっています。しかし、就職氷河期世代への支援は今始まったばかりです。今、問題を抱えている人は、ぜひ支援を積極的に利用しましょう。
また、無関係と感じている人も、日本が抱える問題のひとつとして、改めて就職氷河期について考えてみてはいかがでしょうか。