上旬・下旬・中旬の違い説明できますか?
日々の生活のなかで、普通に使っている、「上旬」「中旬」「下旬」少しあいまいなニュアンスがあって、逆にそれを便利に感じて使っているケースもあります結局いつのことなのって思いますよね。
さまざまな場面で使われる「旬(じゅん)」の本来の意味は、時間の単位で10日間を表しているようです。〇〇旬間(じゅんかん)として使われることもあります。そんな「上旬」「中旬」「下旬」について、それぞれの期間や、発生した経緯や歴史について詳しく紹介します。
「旬」は10日間
「旬」は10日間を意味する言葉です。そこから、「上旬(じょうじゅん)」は各月の1日~10日までになります。
「中旬(ちゅうじゅん)」は各月の11日~20日にあたります。「下旬(げじゅん)」は各月の21日~月末までになります。
ただし、下旬は21日から31日までの大の月と、21日から30日までの小の月があり、2月については21日から28日か29日までの期間が下旬に該当します。
なお、上旬は「初旬(しょじゅん)」と呼ばれることがありますが、期間や意味合いは上旬と同じです。
期日 | 区分け |
1日~10日 | 上旬(初旬) |
11日~20日 | 中旬 |
21日~月末 | 下旬 |
旬間(10日間)のメリット
1か月のスケジュールを作成するときに、毎日の日ごとで管理すると、細か過ぎます。月単で管理する場合は長すぎて対策が後手に回る感じもあります。
現在は週間でスケジュール管理をすることが多いようですが、祝日があったり、日本独特の月初月末の特徴があり、週単位でも管理しにくい場合もあります。そこに、10日単位の旬間が最適となるケースがあるのです。
旬間は季節感が感じられる
1か月を3区分することは、より季節感が感じられます。1月を例にとると上旬はお正月がメインになります。中旬は小寒(しょうかん)で、下旬は大寒(だいかん)になります。週間での区切りよりも、旬間のほうが季節感が感じられる分け方といえます。
6月や11月は上旬と下旬で気温が違い、服装や冷暖房も変わってきます。10日間の旬間で区切ることが適しているようです。このように月を3区分するのは先人の英知で、賢明な区分方法といえそうです。
「上旬」「中旬」「下旬」の起源
上旬や下旬の「旬」の起源ですが、時間の単位を表す漢字です。漢字だけに起源は古代の中国までさかのぼります。
中国の夏朝(紀元前1900年頃~紀元前1600年頃)には、「旬」のじと概念が存在していたようで、甲骨文に「旬間」の文字が見られるそうです。
当時は十干(じっかん)とよばれる、甲(こう)・乙(おつ)・丙(へい)・丁(てい)・戊(ぼ)・己(き)・庚(こう)・辛(しん)・壬(じん)・癸(き)の順列で日数を表していたようで、これが旬間にあたるようで、まさに当時から「旬」が10を意味する漢字になっていたようです。
ここから、現代でも10年間を旬年(じゅんねん)といい、10か月を旬月(じゅんげつ)ということがあります。
「旬」が誕生した神話
古代中国の神話で「旬」に関係する興味深い話が残っています。古代の中国には、天に10個の太陽があったそうです。その10個の太陽には、それぞれに名前があって、十干と同じ「甲、乙、丙、丁、戊、己、庚、辛、壬、癸」と呼ばれていました。
その10個の太陽は順序正しく交代で天空に現れて、現れた太陽の名前で甲の日、乙の日のようにその日を呼んでいました。このように10個の太陽が10日で一回りすることを「旬」と呼んでいたそうです。
この10日間が三旬すると1カ月になります。そこから上旬、中旬、下旬の呼び方が誕生したようです。
10個の太陽が一つの太陽になった話
10個あった太陽が現在のように1個になった言い伝えが中国神話としてあります。
昔、殷(いん)王朝になり堯(ぎょう)帝の時代になると、10個の太陽たちが順序を守らず、勝手気ままに天空に居座り、10個の太陽が同時に天空に現れ、地面は灼熱地獄になり、作物は枯れてしまい大災害におそわれました。
困り果てた堯(ぎょう)帝は、弓の名手である羿(げい)に、十人兄弟の太陽を射落とせと命じました。羿が1個の太陽を射落とすと、堯帝は随分と涼しくなったと気がつき、太陽の偉大な恵みを感じ、羿の矢筒から1本の矢をそっと抜き取りました。羿は9本の矢で太陽を射落とし、一つの太陽だけが残りました。
10日間を意味する「旬」を含む熟語
10日間を意味する「旬」の漢字を使用する熟語があります。代表的な旬の熟語を紹介します。
旬でよく使われるのが「旬刊(じゅんかん)」です。旬刊は十日ごとに刊行する雑誌や新聞を表します。有名なのが映画雑誌「キネマ旬報」です。実際のキネマ旬報は、現在は毎月5日と20日の刊行になっていながら、キネマ旬報と名乗っています。
「旬間(じゅんかん)」も使われています。10日間催事が展開されるときに〇〇旬間と銘打っています。良く知られた旬間は、春の全国交通安全運動で、4月6日から4月15日までになります。秋の全国交通安全運動は、9月21日から9月30日までになります。
また、鉄道の旬間があり、10月14日の鉄道の日を含む、10月11日から10月20日までになります。
他には、10日間を意味する「旬日(じゅんじつ)」もあります。さらに10日ごとに出す報告書の「旬報(じゅんぽう)」もあり、労働旬報などで使われています。
「旬」を含む四字熟語
「旬」を含む四字熟語もあり、「三旬九食(さんじゅんきゅうしょく)」が知られています。 三旬は10日間の旬が3回ですから、1か月を意味します。九食はまさに食事が9回で、1か月に9回しか食事ができないという窮状を表しています。
旬が使われたもう一つの熟語が「天魔波旬(てんまはじゅん)」で、仏教の言葉で、仏道修行を妨げている魔を意味しているそうです。めったに見ない文字です。
「旬」に関係する「筍」
旬は「しゅん」とも読めます。「旬(しゅん)」は、野菜や果物や魚など、季節感のある食材が他の時期よりも、新鮮でいっそうおいしく食べられる時期をいいます。
「旬」本来は10日間の意味ですが、上記の「旬(しゅん)」は、そこから一番良い時期という意味に転化していったようです。
旬がさらに変化した漢字が「筍(たけのこ)」です。「筍」の字本来の意味は、生え始めて10日以内の竹を意味するそうで、「竹」と「旬」が合わさっています。ここでも、「旬」の10日が大いに関係しています。
上旬・中旬・下旬のまとめ
上旬は月の1日~10日までの10日間です。中旬は11日~20日までの10日間です。下旬は21日~各月の月末までの期間になります。
このように1か月を「旬」に当たる10日間で3区分し、月のはじめの10日間が上旬、次の10間が中旬、残りの日々が下旬になっています。
一般的には週単位での行動が多かったのですが、リモートワークなどで働き方改革が行われ、裁量労働が増えています。1か月を上旬・中旬・下旬の3つの旬間でスケジュールすることが、新しい働き方になるかもしれません。トライしてみましょう。