国民の祝日ーー自然、特に植物を表す「みどりの日」はいつ? その由来は
現在の「みどりの日」は、5月4日に制定されています。みどりの日は元々今上天皇の御祖父、昭和天皇の御生誕日に当たる4月29日を指しました。つまり現在の令和から、2つ時代を遡った昭和では「天皇誕生日」だった訳です。
そして4月29日を「みどりの日」として制定されたのが、昭和天皇がご崩御された御年、1989年つまり平成元年です。
そして現在4月29日は第二次世界大戦での敗戦、経済的復興を経た、昭和の激動を忘れない為に「昭和の日」として制定されています。
4月29日~5月5日まではご周知の通り、ゴールデンウイーク期間で、どちらの呼び名でも平日に戻してしまうと国民の生活に大きな影響が出てしまう事が懸念されたのです。
4月29日がみどりの日になってから20年が経ち、2007年に再び祝日法が改正されました。これまで通り5月3日~5月5日を3連休とする意味も込め、それまで「国民の休日」だった5月4日に「みどりの日」が移動されたのです。
国民の祝日ーー「みどりの日」が意味する物 自然や植物との関わり
元来、昭和天皇の御生誕日の4月29日から始まった「みどりの日」。この「みどり」は、生物学者として昭和天皇が、自然を心から愛されていた事に由来します。
「自然に親しむと共に、その恩恵に感謝し、豊かな心を育む」という意味があるとされる、みどりの日、昭和天皇の御心へ少しでも近づき、思いを同じくしたいものです。
その自然へ並々ならぬ愛情と敬意を払われていた昭和天皇のエピソードに、こんなお話があります。 昭和天皇と皇后両陛下のお留守中、後の侍従長;入江相政氏が両陛下お住まいの庭の草刈りをされました。
お帰りになった昭和天皇が、何故草を刈ったのか入江氏にお尋ねになられ、入江氏が「雑草が生い茂って参りましたので一部お刈りしました。」と答えると、天皇陛下は以下の様に諭されたという事です。
「雑草という草はありません。どの草、どの植物にも名前があり、それぞれ自分の好きな場所を選んで生を営んでいます。二酸化炭素を酸素に変えて私たち人間の命を支えています。人間の一方的な考えで雑草として決めつけてはいけません。」
人間の都合や好みで、不要な草と捉え選り分けてはならないという、厳しくも植物への深い愛情を示されたお言葉です。
また昭和天皇は、敗戦によって荒廃した国土に緑を取り戻す為、1950年から催されている植樹祭で毎年全国各地を精力的に巡られ、陛下御自身で苗をお手植えされました。
その御心は現在の上皇陛下に受け継がれ、今に至る全国各地での国土緑化計画、鎮守の森の再生と発展につながっています。
他、こぼれ話として5月4日は「植物園の日」と「うすいえんどうの日」という名で、記念日として設けられています。 みどりの日にあやかって記念日に制定されたようですね。
また5月4日は、かの有名な映画のタイトルでもある「スターウォーズデー」でもあります!「フォースと共にあらんことを」の最初の言葉「May the Forth」を「May the 4th」つまり、5月4日にかけたものです。
「みどりの日」はなくなる⁉ 今後の行方は?
祝日「みどりの日」の、4月29日は元々は昭和天皇の御生誕日、その「天皇誕生日」の呼び名から現在は「昭和の日」と変わり、日付も4月29日から5月4日へと移動しています。
名と日にちの変換を経て、もしかしたら「みどりの日」がなくなってしまう⁉と、懸念される声も上がっているかも知れません。
日本の祝日は、昭和23年法律第178号の、国民の祝日に関する法律に基づき発表されますが、2020年4月時点で2021年の祝日まで明らかになっています。
上記の法律によると、少なくとも来年の2021年の5月4日は「みどりの日」と定められている事が分かっています!
国民の祝日ーー「みどりの日」におすすめの過ごし方 自然に感謝し、植物と触れ合おう!
みどりの日には多くの公営施設が無料で開放されます。多摩動物公園、葛西臨海水族園、井之頭自然文化園をはじめ、都内の多くの公園、庭園も無料で開放されます。
他にも国立科学博物館、全国13カ所の国営公園も、みどりの日は入園無料です! 家族で、特に小さなお子さんがいらっしゃるご家庭は揃って足を運び、大いに散策し、生えている草や木、花に直接手を触れられてはいかがでしょうか。
子供さんに「いつも絵を描いている紙や鼻水を拭くティシュペーパーは、今触っている木から出来ているんだよ」と普段の生活に自然が大きく関わっている事を伝え、自然への感謝の心を持たせるきっかけになるかも知れません。
スケッチブック持参で、目に留まった草やお花の絵を写生したり、帰宅してから見て来たお花を思い出しながら、折り紙を一緒に折ったりもおすすめです!
みどりの月間ーー自然、植物について造形を深める
みどりの日ーーみどりの月間の趣旨
以前は「みどりの習慣」という名でしたが、2007年より「みどりの月間」へと呼び名が変わりました。毎年4月15日から5月14日までを「みどりの月間」と定めています。
国民の祝日である5月4日のみどりの日について関心と理解を深め、緑化などに関する国民の造詣を深める為に実施されています。
みどりの日ーーみどりの月間の行事
みどりの月間中「みどり」に関する行事が全国的に行われます。国立公園の無料開放や「みどりの式典」の開催、地方自治団体や一般の協力を得て「みどり」に関する各行事など、全国的に実施されます。
「みどりの式典」では、国内における植物/森林/緑地/造園/自然保護などに関する研究や、技術の開発など学術上の貢献を成した人物に対し、内閣総理大臣が「みどりの学術賞」を授与します。
他にも新宿御苑、皇居吹上御苑、京都御苑では自然観察会が、国立科学博物館でも自然の素材を使った工作や植物に関する遊びなど、様々なイベントが開催されています。
みどりの感謝祭
「みどりの月間」の締め括りとして、5月の第2土/日曜日には「みどりの感謝祭」が開催され、森林に関連する企業、団体、NPOなどが出展する「みどりと触れ合うフェスティバル」が実施されています。
健全な青少年の育成や、地球温暖化防止にも資する緑化運動の推進などを図る事を目的としています。
東京都立日比谷公園、にれのき広場などで、入場料無料で参加する事が出来ます。みどりの恵み、木の温もりを見て触れて、食べる事で大人も子供も、みどりや機の魅力を体感出来るイベントです!
まとめ
「みどり」という文字が平仮名なのは「緑」の限定的なイメージでなく、「ふるさと」「自然」「豊かな国土」などのイメージの拡がりも感じられるから、という理由からだそうです。
平仮名で、子供さんにもすぐ読め、本当に柔らかな語感で、ゆったり自然に身を任せてみようという気持ちにさせてくれます。実際緑色は、1番眼に優しく心に安らぎを与えてくれる癒しのパワーがあります。
森林浴の言葉通り、林屋森の中を散歩するだけで澄み切った空気が吸え、マイナスイオンを浴びて心と同時に身体の中から浄化されて、免疫力/自然治癒力もアップします!
このみどりの日を掘り下げて色々と知識が身に付くと、日本の辿ってきた歴史も感じる事が出来ますね。人間を含め生物の命をつないでくれている自然を傷付けず、もっともっと豊かにし、守る様努力していきましょう。