「元旦」っていつ?「元日」や「正月」と何が違うの?
皆さんは「元旦」と「元日」の日付はご存じでしょうか。
「元旦」と「元日」の日付は同じ1月1日、新しい1年をスタートする記念すべき日です。年始の行事もたくさんありますね。
ではなぜこの二つが同じ日に制定されているのでしょう。そして「正月」とはいつからいつまでを言うのでしょう。
「新年を迎える、とにかくめでたい日」といったイメージはありますが、全ての行事や風習に意味や由来は知らない方も多いのではないでしょうか。
この記事では「元旦」を始め、年始にまつわる行事や風習について詳細をまとめました。
元日と元旦の違い
「元日」は1月1日のまる一日を指し、時間にすると1月2日までの24時間を言います。
元日はもともと、明治から大正・昭和前期までは「四方節」という皇室行事、四大節の祝祭日の1つとされていました。
後の1948年に四方節は年のはじめを祝う「国民の祝日」に制定されます。
一方「元旦」も1月1日ですが、こちらは時間と覚えておくとよいでしょう。
元旦は元日の始まり、1月1日の太陽が昇ってきた朝を指します。「元旦」という字も昇ってくる朝日を表しているんですね。
「旦」の字の下にある「一」は地平線を表す、「日」はそこから昇ってくる太陽を表しているのです。
こうして見ると「元日」は日にち、「元旦」は時間と覚えておくとわかりやすいと思います。
正月っていつまでが正月なの?
正月は本来、1月から1月末までを指します。しかし時代の流れとともに正月の期間の認識は変わっていきました。
近年は門松といった正月飾りを置いておく期間を「松の内」と呼び、その期間を正月と捉える見方があります。
地域による違いもあり、関東では1月7日まで、関西では1月15日までとなっているようです。
なぜ地域によって正月の期間が違うのでしょうか?そこには歴史的な出来事がありました。
なぜ地域によって正月の期間が異なるの?
正月の期間を指す「松の内」は地域によって異なるとお話ししましたが、その理由は歴史的な出来事にあります。
正月・松の内はもともと、日本全国同じ日付の1月15日で、松の内が終わった後の「鏡開き」も1月20日に行われていました。
「鏡開き」とは、松の内期間は年神様がお供え物の鏡餅に宿るとされ、松の内終了後に行う行事です。
起源は慶安4年、1651年4月20日に徳川三代将軍の家光が亡くなってしまったことにあります。
家光の月命日と鏡開きの20日が被ってしまったため、鏡開きの日を1月11日へと移します。しかし11日はまだ松の内。
そのため「年神様がまだいる期間なのに鏡開きには適さないのでは」という意見が出ます。
そのためさらに変更が加わり、1662年徳川幕府の命により松の内は1月7日に制定されました。
しかしこの情報は関西まで伝わらなかったため、関西の松の内は15日のままでした。
これらの歴史的出来事があり、地域による正月期間の差ができたと言われています。
元旦にまつわる行事や風習
正月はその年が始まる最初の月として、めでたい行事や風習がたくさんありますね。
特に元日・元旦は初日の出や初詣など、年の始まりを祝う行事でいっぱいです。
ここではそんな行事や風習について詳しくお話しします。
初夢
初夢は大晦日の12月31日と1月1日の間に見た夢を指すイメージがありませんか?
ではその時間に寝なかった・寝たけど夢を見なかった場合はどうなるのでしょう。
その場合は新年に入って初めて見た夢が初夢になります。
初夢にも由来があり、平安時代に残された文献には、節分から立春の時期に見る夢を初夢と呼んでいたという記録があります。
室町時代には富や幸せの象徴、宝船に乗った七福神の絵を枕の下に入れて縁起を担いで眠ったと言われています。
このように日本では七福神ですが、中国では夢を食べる空想上の生き物、獏(バク)の絵を枕の下に入れて悪い夢を食べてもらうという風習があります。
昔は夢についての科学的な照明はなかったものの、「夢合わせ」などの夢占いのようなスピリチュアルな見方が多くありました。
一富士二鷹三茄子(いちふじにたかさんなすび)
初夢には欠かせない「一富士二鷹三茄子」は誰もがご存知のフレーズではないでしょうか。
江戸時代に作られたとされ、夢に出てくると縁起が良いものランキングのTOP3ですね。夢に出てくるとどんな良いことがあるのでしょう。
一富士
日本から外国人まで登山に来るほど知名度の高い山「富士山」。初夢に出てくると最も縁起の良いとされています。
富士山の夢を見ると運気の上昇があり、山を「登る」「乗り越える」といったイメージから、何かを達成する・困難を乗り越える年になるとも言われています。
二鷹
2番目に良いとされる鷹は空を自由に飛ぶ姿から、自由な生き方や夢の実現。
そして「鷹」と「高い」が掛かった高い可能性を秘めた1年になるかも、といった吉兆があるとされています。
さらにその鋭い爪で獲物を掴む様から、「夢を掴む年になる」とも言われています。
三茄子
そして3番目のナスですね。
江戸時代、ナスは高級食材で年末の人気食材でした。そのためお金持ちや子孫の繁栄を意味する食材でもあったようです。
「ナス」と「成す」を掛けて、「何か事を成す・成し遂げることができる年」という意味があったとされています。
初日の出
初日の出を高いところから拝む風習は明治時代から広まったと言われていてます。
最初の方に説明したとおり、「元旦」は元日に昇る朝日を表しています。
その元旦に1年の最初の夜明けを、見晴らしの良い山や水平線の見える浜辺で1年の幸運や健康を祈願します。
初日の出は祈願目的もありますが、本来は歳神様を迎える神事です。
迎えた後は家に帰って歳神様と一緒におせちを食べるなど、年始は神様をもてなす行事でもあります。
ご来光(ごらいこう)
高い山で初日の出を迎えることを「ご来光」と言います。
初日の出を見晴らしの良い山など、高い所から見たとき日の光の加減で、
雲に映った自分の影に光の輪が仏さまに見える様を「ご来光」と言います。
光を背負い来迎する阿弥陀仏の「ご来迎(ごらいごう)」が由来となっています。